多くの芸術家に愛される港街で生まれた
I AM A CAT ねこのおうち
モロッコ王国の観光都市、マラケシュから西へ180kmほど移動した距離に位置する大西洋岸の港町エッサウィラ。
国際貿易港として整備された都市であり、フランス人建築家によって設計されたその街並みは、ヨーロッパを思わせるような建物が多く立ち並びます。その街の雰囲気に魅了され、多くのアーティストが滞在することから、「芸術の街」とも呼ばれており、2001年には世界文化遺産にも登録されています。
モロッコのねこのおうちは、そんな美しき芸術の港町で生まれました。
モロッコと東京、
遠隔でのプロジェクトスタート
コロナ禍で海外に行くことが難しい時期に始まった「モロッコのねこのおうちプロジェクト」は、モロッコと日本での遠隔ミーティングからスタートしました。
まずは日本でデザインした「モロッコのねこのおうち」のデザイン資料をもとに、どんな素材を使うか、どこで職人さんを探すかなど、時差のあるなか、時には3時間近く休憩なしで打ち合わせを行いました。
話が少しまとまってきたところで、現地のチームスタッフによる素材とおうちを編んでくれる職人さん探しがスタート。マラケシュで職人さんの情報を集めながら、見つけた職人さんの工房に制作を交渉しますが、制作したことのない新しい商品への挑戦に前向きな職人さんは少なく、ねこのおうちのサンプル制作は思った以上に難航していました。
サンプル1号の完成と新たな課題
そんな中、現地チームスタッフの地道な努力のおかげで、なんとか職人さんを見つけだし、交渉の末、ついにねこのおうちのサンプル制作に取りかかることができました。
チーム内であれこれとアイデアを出しながら、サンプルの制作は進み、コピー商品が作られることを防ぐため、サンプルの仕上げは現地スタッフ自らが作業するなど、細心の注意を払いながら完成へと近づいていきました。
そしてついにサンプル1号が完成し、現地スタッフのおうちの猫ちゃんにテストしてもらうなど、順調に進んでいるように見えたサンプル制作でしたが、「ねこのおうち」を作る上で、私がどうしても譲れないポイントがありました。
それは、しっかりと光が差し込み、外からも中からもコミュニケーションがとれるおうちであること。
このどうしても譲れないポイントを叶えるため、屋根にしっかりと光の差し込むスペースとそれに負けない強度のある編み方に変更する必要がありました。
そして、その希望を叶える編み方ができる職人さんがエッサウィラにいることがわかり、エッサウィラでの工房・職人さん探しの再スタートとなりました。
エッサウィラの工房での再スタート
工房があるのはエッサウィラから少し離れた小さな村。
現地チームスタッフが車で8時間かけてエッサウィラへ行き、1週間ほど滞在して、工房の職人さんと一緒に相談しながら新しいサンプルを制作する新体制がスタートしました。
田舎の地域では、同じモロッコ人同士でも信頼関係を築くまでにはとても時間がかかります。
屋根と下かごは、それぞれ男女の別の職人さんが制作していますが、保守的な村の女性は、自分の夫以外の男性と同じ部屋で密接に話をすることを文化的に好まないため、女性の職人さんとは直接会って作業に関する細かいアドバイスをすることができませんでした。
そのため、人を介しての指示ややり取りが続き、なかなか意図が伝わらず、何度もやり直しをしなければならなかったり、完成度の水準が安定しなかったりと、同じモロッコ人も頭を抱える状況が続いたりもしました。
それでも現地チームスタッフが根気強く何度もデザインの細かい指示を伝え、職人さんのモチベーションコントロールもしながら作業を進めていくうち、少しずつ信頼関係も向上し、それと同じく新サンプルも完成へと近づいていきました。
やっと完成したおうちの屋根とかご
そして次の作業ステップへ
やり直しと調整を幾度となく重ねて、ついにできあがったねこのおうちの屋根とかごは、現地チームスタッフの工房に持ち帰り、次の工程作業にとりかかります。
屋根と下かごを取り外し可能にしたいという要望に、その取り外しの接続部分の素材の選定から仕様などを何度も細かく話し合い、最終的に革製のベルトに決定し、その革は染料のグラム数を少しづつ変えてテストした上で革の色の濃さを決定するという細かい部分にもこだわり抜きました。
インテリアとしても、
ねこのおうちとしても、心地よいものを
こうして試行錯誤を重ね、モロッコの工房をいくつも渡り、モロッコのねこのおうちは完成しました。
とはいえ、完成の水準を安定させるには、まだまだモロッコの職人さんとの密な連携が必要なため、発注した中から状態の良いものだけを厳選して商品としてお届けしています。
たくさんの人の手によって紡がれ、繋がり、出来上がったモロッコのねこのおうち。
自然素材を使い、全て手作りでのモノを作ることの大変さを改めて実感すると同時に、それが完成したとき、簡単に量産できるものとは比べ物にならないほどのモノに対する愛を感じることができました。
暖かな陽の光が差し込むモロッコのねこのおうちが、たくさんのねこちゃん、そして、ねこちゃん以外のどの子にも気に入っていただけることをチームスタッフ一同、心から願っています。
関わってくださったすべての方に感謝
そして、
Mrs.Mika、 Mr. Rachidに最大級の感謝を
Thank you from the bottom of my heart.