柚木さとみさんの
茶畑で跳ね回る子猫たちとの引き合う出会い
くうねるちゃんとの出会いのきっかけは何ですか?
2019年に知り合いのスタイリストさんが、ご近所に住み着いた子猫の里親さんを探すInstagramのストーリーをアップしていて、それを見たのがきっかけでした。 母猫と子猫が2匹遊んでいる動画で、とにかく、かわいいーー!!と思って。もともと猫は好きだし、これまでもそういう動画を見てかわいいと思ってはいたけど、とにかくその子猫たちがどうしても気になって、その日は何度も動画を見返して、 「どなたかいましたか?」と問い合わせたりもしました。
その日に夫にLINEで「かわいいよね〜里親さん探しているらしいよ」って子猫たちの動画を送ったら、特に飼う予定もなかったのに「いいね、会いに行こうか」って返ってきて(笑)
その後もあまり言葉のやり取りは多くはなかったけど、なんだかサクサク決まって、あれれ、展開早い(笑)と思いました。
仕事の都合で会いに行けたのは6日後で、実際会いに行って見た2匹は、もう本当にすごく可愛くて(笑) 私も夫も忙しい時期だったので、お迎えに行けたのは、さらにその6日後なんですが、お迎え当日にホームセンターに色々買いに行って準備をしたりバタバタでした。
到着したとき、くうねるはお母さん猫の傍らで、茶畑のネットでトランポリンみたいに遊んでて笑 ただただかわいいーー!しかなかったです。
くうねるちゃんがはじめてお家に来た日の様子やその時のお気持ちはいかがでしたか?
また、保護猫をお迎えするにあたって不安や心配なことはありましたか?
人馴れしていたくうねるは最初から触れられたので、ちっちゃーーい♡かわいいーーー♡の連続で、もうメロメロでした!2〜3日目には背中に乗ったりして、いつまでも見てられるし、もう本当に幸せでしかなかったです。
わたしも夫も実家では猫を飼っていたけど、ちゃんと自分でお世話をしたことはなかったので、猫ってこんなに動く?とか、そこ登る?とか全部が新鮮でした。
迎える前は大丈夫かなという心配も少しはあったけど、既に離乳も済んでいてトイレもすぐに覚えてくれましたし、わからないことや、やらなければならないことは事前にしっかり調べて対応しました。その中でも、たまたま行った動物病院がとても信頼・尊敬できる先生のいらっしゃる病院で、 その出会いも運命的で、くうねるはラッキーガールだなと思いました。
ふたりを守る!という気持ちが強かったので、日々の小さな変化にもちゃんと気づくことができ、その都度、必要な対応・判断ができたかなと思います。
くうねるちゃんと一緒に暮らす前と後とで変わったことはありますか?
動物(全般)への愛の熱量が全然違います(笑) くうねるを引き取る前から動物はみんなかわいいと思っていたけど、一緒に暮らす前と後では比にならないくらい、散歩している犬でも鳥でもなんでも、もう動物愛が止まらないです(笑)
うちの子たちに限らず動物って、やっぱり純粋さとシンプルな愛がすごいなと。自分でもこんなに変わるかな、というくらい動物に対する気持ちが変わりました。 愛が高まったからこそ、動物に関する痛ましい事が目や耳に入ることは多くなって胸が痛むけれど、動物から受ける愛は本当に大きいし、率直にすごいなと思います。
くうねるちゃんとの暮らしで幸せに思う瞬間はどんなときですか?
くうねると触れ合っているときは全部幸せですね!冬にベットに「入れて入れて〜」って来るときは本当に「あ〜幸せ〜♡」って思います。
2匹でじゃれているところや、寝ているところをみると本当に安心するし、幸せだなって思います。 結論、すべての瞬間が幸せです♡
くうねるとの暮らしを通して考えた、お母さん猫 "こゆきちゃん” への思い
くうねるちゃんのお母さん猫にも会われたんですね
くうねるのお母さんは1歳くらいの三毛猫の野良さんで、こゆきちゃんと名付けられていました。
ごはんや寝床のお世話をしてくださったお家の方がとても優しい方で、すでに家に猫が数匹いるので飼えないけど、こゆきちゃんのことをとても良くお世話してくれていました。
もともと、そのお世話してくださっていた方がこゆきちゃんの避妊手術をしようと思っていたら、こゆきちゃんが姿を見せなくなって、そしてある日突然くうねるを連れてきたそうなんです。
くうねるをお迎えに行ったとき、車に乗せようとしたら、ねるだけお母さんのところに逃げてしまって…また捕まえて車に乗せたけど、そのときは本当に切なくて涙がでました。
こゆきちゃんも、くうねるがいなくなったあと数日はずっと鳴いて探していたそうです。
こゆきちゃんは生粋の野良猫だから懐かないだろうと言われて、こゆきちゃんとくうねるを引き離してしまったけど、いまだったら、まだ1歳だしこゆきちゃんも一緒に連れてきたと思います。生粋の野良猫とはいえ、時間がかかってもきっと慣れてくれただろうし。
こゆきちゃんは、人が子猫たちに触れるのを遠くで見守って許してくれていました。そのおかげで、くうねるは最初から人馴れしていて、環境にも人にも慣れるのはとても早かったです。
こゆきちゃんが人を信用して人と触れ合わせてくれていたからだなと、あとから気づきました。
こゆきちゃんのことは、いまでもたまに思い出して切なくなりますね…。でも同時に「大事にするからね!」と強く思います。
こゆきちゃんはその後、避妊手術をしてもらって、いまも同じお家の方がご自分の敷地内で地域猫としてお世話してくださっています。
階段の壁に飾っている絵は、こゆきちゃんと子猫のくうねるが遊んでいるという絵なんです。
ニューヨーク在住の絵本作家、高林麻里さんに描いていただきました。
自己満足ですが、絵の中でだけでも、こゆきちゃんとくうねるが、ずっと一緒にいられるようにと思って。
幸せでいてほしい、お外のこたち
お外の猫ちゃんたちのお世話もされているんですね
2022年の7月頃から自宅に来るようになった「やせちゃん」と呼んでいる子がいます。
別の外猫さんに用意していたご飯を食べに来たやせちゃんは、よだれを垂らしてガリガリで目つきが鋭く大丈夫かなと心配でした。
療法食の缶詰やミルクをやせちゃん用に置いたりして、いまは少しふっくらして、目も優しくなって。雨にぬれない場所に手作りハウスを置き、冬はカイロをいれて、夏は凍らせたものを入れたり試行錯誤しています。
以前、やせちゃんがお口が痛そうで毛もバサバサだったので病院へ連れて行こうと思ったのですが、捕獲に失敗して逃げてしまって…。そこから怯えてしまい、ハウスにも入らなくなって落ち込みました…。でも最近またハウスに入ってくれるようになったので嬉しいです!
くうねるがお家で気持ちよさそうに寝ているのを見ると幸せな反面、お外のこの生活は過酷なので、ちょっとした物音で起きるなど、やせちゃんが熟睡できていない様子を見ると少し複雑な思いになってしまいますね。
想像力とほんのちょっとの思いやりの大切さ
仕事場のアトリエには、キジ白とグレーの子と茶トラの3匹が来てくれていて、食堂と称したハウスをウッドデッキに置き、中に毎日カリカリを置いています。
外で暮らす猫ちゃんたちに関しては、くうねると暮らすようになるまでの自分は、本当に想像力が足りなかったなと思います。くうねるのお母さんのこゆきちゃんをお迎えしなかったことも含めて、いまでも少し後悔することがあります。
2018年にいまの家に引っ越をしてから、庭に猫がたまにいて、暑い日に長時間くてっと寝ていて、かわいい〜と思って写真を撮ったりしていたのですが、くうねると暮らすようになった後に、たまたまそのとき撮った写真を見ていたら、その猫ちゃんがけっこう痩せていて…。
なんであのとき水のひとつも出さなかったんだろう!と思いました。 水を置くとか誰でもできるのにって、いまだったら、と思ってしまいますね。
お外の猫ちゃんが家の敷地内でおしっこしちゃうことを「被害」と捉える方もいらっしゃるし、考え方は人それぞれだけれど、人間は蛇口をひねって水を出すことができるけど、猫にはもちろんそれができない。
ちょっとの優しさで救われる命があるなら、ほんのちょっとの行動でもいいからしてあげたいなと思いますね。
人のものさしで図らずに、想像力を働かせることの大切さを感じます。
純粋でシンプルだからこそ、循環する「思いのやり取り」
最後に、これから保護猫をお迎えする方や猫との生活を検討している方へメッセージをお願いします!
猫飼いさんはみんな思っていると思うけど、猫との生活は愛と幸せしかないです!(笑)
動物は皆そうなんですけど、猫は人間みたいに余計なことを考えないし、すごくシンプル。甘えたいときに甘えて、ひとりでいたいときはひとりでいる。
そのままでいいんだよな、と思わせてくれる。こっちが何かをしてほしいとか思っていないのにいっぱい幸せをくれる存在ですね。
偉そうなことは言えないし、もちろん病気とか色々大変なこともあるかもしれないけど、でも実際一緒に暮らしていたら、然もないこと。
人とは違うけど、確実に家族だし、大事な存在であることは変わらない。そこに言葉がない分、気持ちを汲みとったり、体調や日々の変化に気を配ったり。余計なこと言ったり考えたりしない、シンプルなところで「思いのやり取り」が循環していて、それこそが大事なんじゃないかと思います。
仕事で疲れていても、くうねるを見ると吹き飛んでしまうし、動物との暮らしってこんなに豊かなんだ!と、本当に日々思いますね。
エゴがない純粋さにはかなわない!「愛」は猫がすべて持っているって思います。
くうねるちゃんをお迎えしてから、ねるちゃんの全顎抜歯を経験したり、「お外のこ」との窓越しの対面がきっかけでねるちゃんが転嫁行動※を起こし、3週間の隔離生活を何度か送るなど、様々な経験をみんなで乗り越えてきたさとみさんご夫婦とくうねるちゃん。 お家にお迎えはできないけれど、お外のこたちを気にかけ、悩みながらも日々自分にできることを行動に移していらっしゃる姿は動物への愛情に溢れていました。
ねるちゃんの転嫁行動がきっかけで、毎日くうねるちゃんの様子をInstagramにアップして記録するようになったと話すさとみさん。変わらない日常があることの素晴らしさ、ありがたさを日々感じながら過ごす、くうねるちゃんとの温かな日々が詰まったInstagramを是非ご覧ください。
(下のプロフィールのInstagramのリンクよりご覧ください)
※「転嫁行動」とは、何らかの原因で、興奮したりイライラした気持ちを直接の相手ではなく、無関係の相手に対して攻撃的になる行動。ねるちゃんの場合はくうちゃんが攻撃の対象に。